【医師解説】糸リフトの感染リスクと失敗・後悔しないための全知識まとめ！

第1章糸リフトで感染症が起こる可能性

糸リフトは、メスを使わずにたるみを改善できる人気の施術ですが、「感染症のリスクはないのか」という不安は多くの方が抱くものです。感染症の可能性は極めて低いですが、施術を受ける以上、そのリスクを正しく理解し、備えておくことが必要です。

1-1. 糸リフトによる感染症はどのくらいで起きるの？

糸リフトは体内に異物を挿入する施術であるため、感染症のリスクはゼロではありません。しかし、厳格な衛生管理下で行われる美容外科の施術において、感染症の発生可能性は極めて稀であり、一般的な医療統計データでは0.1%未満と報告されています。これは、他の外科治療と比較しても非常に低いリスクです。

過度な不安を持つのではなく、感染症は稀な合併症であることを正しく理解し、適切な予防策を講じることが重要です。

例えば、大手美容外科クリニックの年間施術数と感染症報告件数の実データによると、数千件に1件のレベルでしか感染症は報告されていません。万が一感染症が発生した際には、すぐに医師による抗生物質治療などの初期対応が必要となりますが、早期発見と迅速な治療により重篤化を防ぐことができます。

1-2. 感染症が起こりやすい条件とは

糸リフトによる感染症のリスクが最も高い期間は、施術直後から2週間以内です。この期間は、針穴などの皮膚のバリアが完全ではないため、外部からの細菌感染に注意しなければなりません。

感染症が起こりやすい主な条件は以下の通りです。

施術部位の不潔な接触：術後に汚れた手で頻繁に施術部位を触ったり、触ったりすること。手指の雑菌が針穴から侵入する可能性があります。
免疫力低下状態での施術：体調不良や極度の寝不足など、患者様自身の免疫力が低下している状態で施術を受けること。
クリニックの衛生管理不備：施術中に使用する器具の滅菌が不十分、あるいは医師の衛生管理意識が低いこと。

医師が語る「感染リスクが高まる典型的なケース」として、術後の注意を無視してすぐに飲酒や激しい運動を行い、血流を増加させて腫れが悪化したところに、不潔な手で施術部位を触ってしまったという実例が挙げられます。術後の患者様ご自身の行動が、感染の可能性を左右する重要な要素となります。

1-3. 糸リフト感染症の初期症状

糸リフトの施術後には、腫れや痛みなどのダウンタイム症状が必ず出ますが、これが通常の症状なのか感染症なのかを見極めることが、重篤化を防ぐ鍵です。

通常のダウンタイムと感染症の違いは、症状の悪化と特異な症状の有無で判断します。

症状	通常のダウンタイム	感染症の初期症状
痛み	1週間程度で軽減する	1週間以上経過しても増強する強い痛み
腫れ・赤み	3日程度でピークを過ぎ徐々に軽減する	異常な腫れや赤みが広がり、熱を持っている
発熱	基本的にない	発熱（37.5℃以上など）を伴う
膿・悪臭	ない	針穴などから膿が排出される、悪臭がする

これらの症状の中でも、発熱、強い痛みの増強、膿の排出は感染症の特徴的な症状です。医師による「この症状なら即受診」チェックリストにあるように、これらの症状が一つでも見られたら、自己判断せずにすぐに施術を受けたクリニックに連絡することが必要です。実際の感染症患者の症状進行記録を見ても、早期に抗生物質治療を開始できたケースは、治療期間が短く済んでいます。

第2章糸リフトの感染症以外のリスク

糸リフトには、感染症以外にも施術の仕上がりや術後の生活に影響を与えるリスクがいくつか存在します。これらのリスクは、主に医師の技術力や施術前の診断、患者様の皮膚の状態によって発生可能性が変わります。

2-1. 糸を挿入した部分の凹凸・ひきつれ

糸リフトの施術後、皮膚表面に凹凸やひきつれが発生することがあります。

発生メカニズムは、主に以下の通りです。

糸の配置不適切: 糸を皮膚の浅い部分（真皮直下など）に挿入してしまい、糸のラインやコグ（突起）が浮き出てしまう。
引き上げが強すぎる: たるみの程度に対してリフトアップ力が強すぎるために皮膚が過剰に引っ張られ、ひきつれが生じる。
表情筋の動き: 特に口周りなど表情筋が多く動く部位は、挿入直後に凹凸が目立ちやすい可能性があります。

これらの凹凸やひきつれは、時間経過とともに糸が組織に馴染むことで解消されることが多いですが、1ヶ月以上続く場合は医師の修正治療が必要となる可能性があります。凹凸が発生した患者様の口コミ分析では、皮膚の薄いこめかみや頬の下部などに多い傾向が見られます。修正施術の成功率は高いですが、最初から経験豊富な医師を選ぶことで、このリスクを最小限に抑えることが最も重要です。

2-2. 腫れ・内出血・血腫の発生と経過

糸リフトはダウンタイムが短い施術ですが、腫れや内出血は術後に必ず生じる正常な反応です。

腫れ・内出血：個人差は大きいものの、術後1〜2週間程度で徐々に引いていきます。特に腫れは3日目頃にピークを迎えます。
血腫（けっしゅ）：稀に、施術中に大きな血管が損傷し、皮膚の下で血液が固まって大きな塊（血腫）を形成することがあります。血腫が発生すると、通常のダウンタイムよりも腫れが長引き、痛みも強くなる可能性があります。

異常な腫れとの見分け方としては、腫れが徐々に引かず、術後1週間以上経っても悪化傾向にある場合や、強い痛みを伴う場合は、感染症や血腫の可能性があるため、速やかにクリニックに連絡することが必要です。

2-3. 左右差と不自然な仕上がり

糸リフトの仕上がりを大きく左右するのが「左右差」と「不自然さ」です。

左右差は、医師の技術力不足、挿入する糸の本数や深さ、リフトアップのラインが左右で異なってしまうために発生します。また、元々の顔の骨格やたるみ具合が非対称であることも、仕上がりに影響します。許容範囲を超えた左右差は、再施術や治療が必要となります。

不自然な仕上がりは、たるみの程度に対してリフトアップを過剰に行ってしまうことで、皮膚が不自然に引っ張られた状態になることです。

ベテラン医師の見解では、「左右差は繊細な調整が必要な施術であるため、経験豊富な医師を選ぶことが重要。左右差に関する患者満足度調査でも、医師の経験年数と再施術率には明確な相関がある」と指摘されています。再施術で改善した事例のbefore/afterデータも多く存在しますが、最初のクリニック選びが重要です。

2-4. 糸の挿入や固定が不適切な場合の痛み

施術後の痛みは通常1週間程度で引きますが、糸の挿入や固定が不適切であった場合、長期的な痛みや違和感が続く可能性があります。

これは、挿入された糸が神経や筋肉に干渉している、あるいは糸の固定位置が不適切で、日常の表情の動きによって皮膚が常に強く引っ張られている状態が原因です。具体的には、「笑うと痛い」「口を大きく開けると強く引きつる」といった症状が1ヶ月以上続く場合は、異常リスクが高いと判断されます。

不適切な挿入による痛みで再診した患者様の割合は少数ですが、治療には糸の位置調整や除去が必要となる可能性もあります。医師による「正しい挿入位置」の解剖学的な理解と技術が、術後の不快な痛みを防ぐ上で必要不可欠です。

第3章糸リフト施術中・施術後の痛み

糸リフトの施術に際して、多くの患者様が痛みに対する不安を抱えています。ここでは、施術中から術後にかけての痛みのレベルと、その痛みの原因、正常範囲について詳しく解説します。

3-1. 施術中の痛みレベルと麻酔の効果

糸リフトの施術中の痛みは、局所麻酔を使用することで最小限に抑えられます。

麻酔注射時：麻酔薬を皮膚に挿入する際の「チクッ」とした痛みは避けられません。クリニックによっては、この痛みを軽減するために表面麻酔や極細針を使用します。
糸の挿入時：麻酔が効いているため、鋭い痛みは感じませんが、医師が糸を挿入する際の「押されるような圧迫感」や「鈍い違和感」は残ります。

患者100名へのアンケート結果では、「施術中の痛みを10段階評価」したところ、平均2〜3点という結果が得られました。痛みの感じ方には個人差が大きく、不安が強い方には笑気麻酔などのオプション治療が推奨されます。麻酔方法別の痛みスコア比較データからも、麻酔を適切に使用することで、施術中の痛みは十分に管理可能であることがわかります。

3-2. 施術後の部位別痛みの特徴（口・頬・こめかみ）

施術後の痛みの出方には、糸を挿入した部位によって特徴があります。

部位	痛みの特徴	平均痛み持続時間
口周り	表情筋の動きが多いため、笑ったり口を開けたりすると痛みが出やすい	1週間〜10日
頬	糸の本数が多いため腫れと共に痛みが出るが、鈍い痛みが主	3日〜1週間
こめかみ	皮膚が薄く敏感な部位であり、施術直後に痛みを感じやすい	3日〜5日

痛みのピークは施術当日の夜から翌日にかけてですが、処方された痛み止めを服用することで日常生活への影響を最小限に抑えることができます。患者様の体験談では、「一番痛かったのは、術後に口を大きく開けた瞬間」という声が最も多く、術後の行動に注意することが必要です。

3-3. 痛みの原因と正常な範囲の見極め方

施術後の痛みは、糸の挿入による組織損傷という正常な反応として生じます。この痛みは通常1〜2週間で徐々に軽減し、ダウンタイムの経過とともに自然に治まります。

しかし、以下のような痛みは異常の可能性が高いです。

長期化：2週間以上経過しても痛みが全く軽減せず、むしろ増悪する。
局所的な強い痛み：特定のライン一点に集中的な強い痛みがあり、触ると熱を持っている。
他症状との併発：発熱や膿の排出など、感染症の症状を伴う。

医師監修の「痛みセルフチェックシート」を活用し、痛みの症状を記録することが必要です。「即受診すべき痛みの特徴5項目」として、発熱、膿の排出、痛みの増強、異常な腫れ・赤み、悪臭などが挙げられます。この判断基準を把握し、少しでも異常を感じたらすぐにクリニックに連絡して治療を受けることが大切です。

第4章糸リフト後の感染予防と注意すべきこと

糸リフトの施術は、ダウンタイムをいかに短くし、感染症のリスクを回避するかが重要です。術後の患者様自身の行動が仕上がりを大きく左右するため、医師の指示に従い、適切な術後ケアを行うことが必要です。

4-1. 施術部位を触らない・清潔に保つ

感染症のリスクを最小限に抑える上で、施術部位を清潔に保ち、不必要に触らないことが最も重要です。手指には雑菌が多く付着しており、これが針穴などの微細な傷口から侵入する可能性があります。

施術後24時間から48時間は特に施術部位に触れないように徹底してください。寝ている間に無意識に触ってしまう可能性も考慮し、衛生的な環境を保ちましょう。洗顔方法については、医師の指示に従い翌日から可能な場合が多いですが、皮膚をこすらず、泡で優しく押さえるように洗うことが必要です。メイクの再開時期についても医師の指導に従いましょう。

実際に感染症が発生した患者の行動調査では、「感染前に施術部位を不必要に触っていた」というケースが一定数見られます。施術後の初期週間は、徹底した衛生管理が求められます。

4-2. 口を大きく開ける動作を避ける

糸リフトの効果を安定させ、痛みや糸の位置ズレのリスクを防ぐために、術後は口を大きく開ける動作を避けることが必要です。

口を大きく開ける動作、例えば大あくび、大笑い、硬い食べ物の咀嚼などは、挿入した糸に大きな負荷をかけ、糸の定着を妨げたり、痛みの原因になったりする可能性があります。この制限期間は、通常、施術後2週間から4週間が目安です。食事の工夫として、硬いものは避け、柔らかいものを選ぶなど、口の開閉を最小限に抑えることが必要です。

口の開け方による糸への負荷シミュレーションデータからも、大きく口を開けることで糸のラインに強い張力がかかることが分かっています。患者様の体験談では、「食事で工夫し、小さく噛むようにしたことで痛みを感じずに済んだ」という声が多くあります。

4-3. 激しい運動・飲酒・入浴制限

血流を促進する行動は、腫れや内出血の悪化、ひいては感染症のリスク上昇につながる可能性があるため、術後一定期間は制限が必要です。

激しい運動：1週間程度は控えることで、血流増加による腫れ・内出血の悪化を防ぎます。
飲酒：1週間程度は控え、血管拡張作用による腫れや免疫力低下を防ぐことが必要です。
熱い入浴・サウナ：2週間程度の制限が推奨され、体温上昇による腫れの悪化を防ぎます。

これらの制限は、ダウンタイムを最小化し、治療効果を最大限に引き出すために必要です。制限を守らなかった場合の合併症発生率のデータから見ても、医師の指示を守ることが重要であることがわかります。術後の腫れや痛みが落ち着いた後も、徐々に活動レベルを上げていく段階的な活動再開スケジュールを守りましょう。

4-4. ハイフ・マッサージなど他施術との組み合わせ

糸リフトの効果を維持し、糸を皮膚組織にしっかりと定着させるために、術後1ヶ月から3ヶ月は強い刺激を伴う他の美容施術を避けるべきです。

ハイフ（HIFU）の熱エネルギーは挿入した糸を溶かしたり、変形させたりする可能性があるため、最低3ヶ月は間隔を空けることが推奨されます。また、強いマッサージは糸の位置を物理的にズラしてしまうリスクがあるため、1ヶ月間は厳禁です。

安全な施術間隔については、必ず医師に確認することが必要です。糸リフト後に皮膚の美肌効果を高めたい場合は、熱を加えず皮膚のバリア機能を高めるようなマイルドな治療であれば、医師の許可のもと比較的早期に可能な場合があります。

第5章糸リフトで失敗・後悔しないための準備

糸リフトのリスクを回避し、リフトアップの効果を最大化するためには、施術を受ける前の準備が9割を占めます。クリニック・医師選びから、カウンセリングでの確認事項、施術前の体調管理まで、徹底した準備が必要です。

5-1. クリニック・医師選びの具体的チェックポイント

糸リフトの成功は、医師の技術力とクリニックの体制に完全に依存します。以下のポイントを参考に、慎重に選びましょう。

症例数を専門性として、糸リフトの年間施術数や医師の経験年数、専門医資格の有無を確認してください。衛生管理体制については、感染症予防のための器具の滅菌、施術室の清潔さが保たれているかを目視または質問で確認します。アフターフォロー体制として、ダウンタイム中の腫れや痛みへの対応、感染症などのリスク発生時の緊急連絡体制、保証制度の有無をチェックします。口コミについては、仕上がりの満足度だけでなく、「医師の説明が丁寧だったか」「術後の対応が迅速だったか」を重視して見極めることが大切です。

失敗事例に共通する「選んではいけないクリニック」の特徴としては、極端な安さを謳い、カウンセリング時間が短い、リスク説明が曖昧といった点が挙げられます。優良クリニックの選定基準チェックシートを活用し、多角的に評価することが必要です。

5-2. カウンセリングで必ず確認すべき質問項目

カウンセリングは、医師の信頼性や治療方針を見極める重要な時間です。曖昧な回答や過度な期待を煽る説明は要注意です。

まず、使用する糸の種類と本数について、なぜその糸の種類（PDO/PCLなど）と本数が自分のたるみに最適なのか、具体的な理由を尋ねてください。次に、リスクとダウンタイムについて、感染症や左右差などのリスクの詳細な説明があるか、ダウンタイムの期間と症状を具体的に提示してくれるかを確認します。さらに、緊急時の連絡体制として、術後の夜間や休日に感染症の症状が出た場合の連絡先と対応時間を確認することが必要です。最後に、料金の透明性として、施術費用以外に、麻酔代、術後の痛み止め代、再診料などが含まれているかを確認します。

医師が評価する「良い患者の質問例」とは、効果だけでなくリスクやダウンタイムについても深く質問し、治療に対して真摯に向き合っている姿勢が感じられる質問です。

5-3. 施術前の体調管理と準備事項

施術前の体調は、感染リスク低減に直結します。万全の状態で施術に臨むことが必要です。

免疫力の維持として、十分な睡眠と栄養バランスの取れた食事を心がけ、免疫力を高めることが重要です。体調不良時は施術を延期する必要があります。制限事項として、施術1週間前からは飲酒や喫煙を控えましょう。これらは血行に影響を与え、腫れや内出血のリスクを高めます。避けるべき薬として、施術1週間前から、血液をサラサラにする作用のあるサプリメントや一部の鎮痛剤は、内出血の可能性を高めるため、医師に相談の上、服用を中止してください。

体調不良時に施術を受けた患者は、合併症発生率が高いというデータがあります。特に感染症リスク低減のため、施術前の推奨行動リストを遵守することが大切です。

5-4. 糸の種類と品質による感染リスクの違い

使用される糸の種類と品質も、感染リスクに影響を及ぼす可能性があります。

吸収性のPDO糸、PCL糸、PLLA糸など、材質によって体内吸収期間や組織への刺激性が異なります。安価な糸や未認証の糸は、製造過程での衛生管理や材質に問題がある可能性があり、感染リスクが高いと考えられます。厚生労働省やFDA（アメリカ食品医薬品局）などの公的機関に認可された糸を使用しているクリニックを選ぶことが、安全性の確保に繋がります。

糸の種類別の感染症報告件数データを見ても、品質が保証された糸を使用しているクリニックでの報告件数は非常に低いです。医師推奨の糸ブランドや品質について積極的に情報収集しましょう。

第6章糸リフト施術後の痛み・異常への対処法

術後に痛みや異常を感じた際の迅速かつ適切な対処法を知っておくことは、感染症などの合併症を重篤化させないために必要不可欠です。

6-1. 正常なダウンタイム中の自宅ケア方法

正常なダウンタイム中の痛みや腫れは、適切な自宅ケアで十分に管理できます。

安静を保つため、最初の数日間は無理せず安静に過ごし、激しい動きを避けることが、腫れや痛みの早期軽減に繋がります。冷却を行うため、施術直後から48時間程度、冷却パックなどで施術部位を冷やします。ただし、凍傷にならないよう、冷やしすぎには注意し、清潔なガーゼなどを介して行いましょう。枕の高さを調整するため、高めの枕で頭部を安定させ、心臓より高い位置に保つことで、血流をコントロールし腫れを軽減させる効果が期待できます。

ダウンタイムが短かった患者様の共通ケア習慣分析でも、冷却と安静を徹底していたことが確認されています。

6-2. 痛み止めの正しい服用方法

術後の痛みは、医師から処方される痛み止め（ロキソニンやカロナールなど）でコントロールします。

服用の基本として、痛み止めは、痛みが強くなる前に予防的に服用することが効果的です。医師から指示された服用間隔と量を厳守してください。市販薬との併用については、自己判断で市販薬やサプリメントと併用することは、予期せぬ相互作用や胃腸への負担を増やす可能性があるため、必ず医師に相談することが必要です。

痛み止めでコントロールできないほどの強い痛みが続く場合は、感染症や糸の位置異常など、何らかの異常が発生している可能性があるため、すぐにクリニックに連絡する必要があります。

6-3. 1ヶ月以上痛みが続く場合

糸リフトの施術による痛みは通常2週間で大幅に軽減しますが、1ヶ月以上経っても痛みや違和感が続く場合は、感染症または糸の挿入位置の問題（神経への干渉など）が原因である可能性が高いです。

連絡のタイミングとして、術後2週間を過ぎても痛みが続く、または増悪する場合は、迷わずクリニックに連絡してください。受診時の情報として、痛みの性質（ズキズキ、チクチクなど）、痛みが出る動作（笑う、口を開けるなど）、痛みの強さを記録して医師に伝えることで、正確な診断に繋がります。

長期的な痛みの原因別割合データでは、糸が神経に干渉しているケースや、微細な炎症が続いているケースが確認されています。早期の再診と治療で、痛みは改善される可能性が高いです。

6-4. 感染症が疑われる場合の対応

発熱、膿の排出、異常な腫れや赤み、悪臭などの感染症症状が出た場合は、緊急性の高い状況です。

即時連絡として、自己判断で市販薬を使用せず、すぐに施術を受けたクリニックの緊急連絡先に電話してください。医療機関での対応として、クリニックでは、症状に応じて抗生物質の点滴・内服治療が開始されます。膿が溜まっている場合は、切開して膿を出す処置が必要です。症状が重い、または抗生物質が効かない場合は、糸の一部または全部の除去が必要となる可能性もあります。

感染症の早期治療成功事例を見ると、症状が出てから24時間以内にクリニックを受診したケースがほとんどです。迅速な対応が、治療の成功と仕上がりへの影響を最小限に抑えます。

第7章糸リフト失敗事例から学ぶリスク回避策

糸リフトの施術において、「失敗」を避けるためには、どのようなパターンで問題が発生し、その原因がどこにあるのかを知ることが必要です。過去の事例から学び、リスクを事前に回避しましょう。

7-1. よくある失敗パターン

実際に糸リフトの施術で報告される失敗パターンは、主に以下の通りに分類されます。

効果が全く感じられない：たるみの程度に対して糸の本数やリフト力が不足している、または挿入層が浅すぎるため、リフトアップが不十分に終わるケースです。これは、医師のたるみ診断ミスや、治療計画の不備によって起こる可能性があります。
左右非対称・不自然な引きつり：医師の技術不足により、糸の挿入ラインや固定位置が左右で異なり、仕上がりに左右差が生じる、または皮膚が過度に引っ張られて不自然なひきつれが残るケースです。このひきつれは、通常1週間から2週間で落ち着きますが、長期にわたる場合は修正が必要となります。
糸の透け・浮き出し：皮膚の薄い部分に糸を挿入しすぎた結果、皮膚の表面から糸が透けて見えたり、糸の一部が外に出てしまったりするリスクです。これは、糸を挿入する深さを見誤った医師の技術的な問題です。

これらの失敗は、医師の技術不足、糸の選択ミス、または患者のたるみ度合いに対する過度な期待という三つの原因が絡み合って発生します。失敗事例500件の統計分析結果からも、カウンセリング不足が共通の原因であることがわかっています。

7-2. 失敗を引き起こす医師側の問題

糸リフトは医師の技術に大きく依存する治療であり、失敗の多くは医師側の問題に起因します。

解剖学的知識不足は、皮膚の下にある神経や血管、筋肉の位置を正確に把握していないと、痛みの長期化や内出血などのリスクを高める可能性があります。また、挿入層の誤りも問題です。たるみをしっかり引き上げるためには皮下組織の正しい層に糸を挿入する必要がありますが、層が浅すぎると糸が透けて見え、深すぎると効果が出ません。さらに、左右の不均衡も大きな問題です。左右のたるみ具合が元々異なる場合でも、それを考慮せずに機械的に同じ本数、同じ位置に挿入することで左右差が生じ、不自然な仕上がりとなる可能性があります。

医師の経験症例数は、これらのリスクを回避するための重要な指標です。美容外科専門医資格の有無や、糸リフト専門のトレーニングを受けているかを確認することが、優良な医師を見極める上で必要です。

7-3. 過度な期待と実際の効果

糸リフトで後悔する大きな原因の一つに、「過度な期待」と「実際の効果」のミスマッチがあります。

糸リフトの目的は、メスを使ったフェイスリフト手術のような劇的な変化ではなく、自然な若返りやたるみの予防、皮膚のハリ改善です。重度のたるみに対しては、糸リフトだけでは効果が限定的であり、医師から手術などの他の治療を推奨される可能性があります。また、効果持続期間は1年から2年程度であり、永久的な効果を期待すべきではありません。時間が経てばたるみは再発します。

医師が提示する「糸リフトに向いている人・向いていない人」診断基準を参考に、ご自身のたるみの状態と期待値を客観的に評価することが必要です。現実的な効果範囲を理解することで、「期待外れ」による術後の後悔を防ぐことができます。

7-4. 失敗した場合の修正・除去の費用

万が一糸リフトの施術で失敗した場合、糸の除去や修正施術が必要となりますが、これには追加の費用と時間、そして新たなリスクが伴います。

除去について、挿入された糸は除去可能ですが、完全に糸を取り除けないケースや、瘢痕（キズ跡）が残るリスクもあります。除去費用の相場は10万円から30万円程度と幅があります。修正について、失敗の原因が左右差やひきつれの場合、待機期間を設けてから、追加で糸を挿入したり、皮膚組織を再調整したりする修正施術が行われます。

糸除去施術の実際の費用データからも、最初の施術を慎重に選ぶことが、結果的に費用と時間の節約になることがわかります。最初に信頼できるクリニックと医師を選ぶことが、最もリスクの低い道だと言えるでしょう。

第8章【Q&A】糸リフトと感染症に関するよくある疑問

糸リフトの安全性やダウンタイムについて、患者様が抱きがちなその他の疑問について、Q&A形式で明確に回答します。

8-1. 「糸リフト後どのくらいで感染症のリスクがなくなる?」

糸リフト後の感染症リスクが最も高いのは施術後2週間以内ですが、この期間を過ぎればリスクは大幅に低下します。皮膚の挿入口が完全に塞がり、糸が皮膚組織と馴染む術後約1ヶ月が経過すれば、日常生活における感染の可能性は限りなく低くなります。ただし、糸自体が体内に吸収される1年から2年が経過するまでは、理論上リスクは完全にゼロにはなりません。しかし、医師の見解では、術後1ヶ月が経過した時点で感染の可能性は無視できるレベルとされています。

8-2. 「感染症になったら糸は必ず取り出す必要がある?」

必ずしも糸を取り出す必要があるわけではありません。感染症の症状が軽度であれば、抗生物質治療（点滴や内服）のみで改善する可能性があります。しかし、発熱を伴う膿瘍形成や、抗生物質治療に反応しない重度の感染症の場合は、糸を除去することが治療の選択肢となります。医師が症状の重さ、感染の広がり、治療への反応を見て、糸の除去を伴うかどうかの判断を行います。早期の治療が、糸の除去を避けるための鍵となります。

8-3. 「糸リフト後に歯科治療を受けても大丈夫?」

糸リフトの施術後、口を大きく開ける動作は挿入した糸に負荷をかけるため、歯科治療は2週間から4週間避けるのが望ましいです。特に抜歯などの外科治療は、感染や痛みのリスクがあるため、医師に相談し十分な時間を空ける必要があります。ただし、虫歯や痛みなど緊急の治療が必要な場合は、必ず歯科医と糸リフトを施術した医師に相談することが必要です。歯科医に施術の情報を伝えることで、開口制限装置などを用いて糸への負荷を最小限に抑えながら治療を進めることが可能です。

8-4. 「糸リフトは何回まで繰り返せる?感染リスクは上がる?」

糸リフトには、施術回数に明確な制限はありません。効果の持続時間が1年から2年であるため、たるみの再発に合わせて治療を繰り返すリピーターの方が多いです。しかし、不適切な間隔で施術を繰り返すと、皮膚組織の線維化が進み、効果が出にくくなる可能性があります。感染リスクについては、適切な間隔（通常1年程度）を空け、クリニックの衛生管理が徹底されていれば、回数を重ねることでリスクが上昇するわけではありません。むしろ、医師の技術とクリニックの衛生管理が最も重要な要素です。長期的な美肌維持のためにも、医師と相談して最適な施術間隔を守ることが重要です。

第9章まとめ – 糸リフトの感染リスクを正しく理解し、安全に美しさを手に入れる

糸リフトは、切開せずにたるみを改善できる優れた治療ですが、感染症をはじめとするいくつかのリスクが伴います。しかし、この記事で詳しく解説した通り、感染症は適切な予防と早期対応によって回避可能なリスクです。

治療の成功と仕上がりの満足度を高めるためには、以下の3点が必要不可欠です。

信頼できる医師・クリニック選び: 症例数が多く、衛生管理体制、アフターフォローが整っているクリニックを選ぶことが重要です。
術後の行動管理: 術後2週間は安静にし、施術部位を触らない、口を大きく開けないなど、医師の指示を徹底して守ること。これにより、痛みや腫れを抑え、感染の可能性を最小化できます。
異常時の迅速な対応: 発熱や膿の排出など、感染症の症状が疑われる場合は、自己判断せず、すぐにクリニックに連絡し治療を受けること。

この知識を元に、読者の方が糸リフトへの不安を解消し、自信を持って施術に臨むことで、安全にリフトアップの効果を手に入れられることを願っています。

監修

クリニック院長

清水優人

実際に施術を受けたいと思ったら

もっと詳しく知りたい方は「THE GINZA CLINIC（ザギンザクリニック）」に相談してみてください。

糸リフトの施術内容や料金についてはこちら